梅雨入り前後のダウンメンテナンス

2023.05.26

2023年、あっという間に今年の4分の1が終わり、ゴールデンウィークも足早に過ぎていきました。国内では5月スタートから夏日が続出しましたね。少しずつどんよりジメジメとした梅雨に季節が迫ってきているのを感じます。梅雨と聞くと気になるのが衣類の大敵【カビ】です。今回は梅雨入り前後のクリーニングとメンテナンスについてご説明させていただきます。

1.梅雨がダウンにもたらす影響とは

「ジメジメ」「ムシムシ」が続く梅雨は気圧の変化も著しいためとても過ごしにくい季節ですが、実はダウンにとってもそれは同じなのです。梅雨の季節ダウンはどのような影響を受けるのか、モンクレールダウンを参考にご説明していきます。

1−1 モンクレールダウンが受ける影響

優れた保温性を誇るモンクレールダウンですが、梅雨の湿気は大敵です。湿気を吸収してしまうのでふわふわだったダウンは少しずつボリュームが落ちていきます。また湿気によってカビが発生しやすい条件となってしまいます。湿気と併せて注意したいのが蒸し暑さです。高温多湿はカビや菌の増殖を促す環境です。クローゼットを締め切った状態のままにしておくと、空気がこもってしまうので湿気や熱が滞留しやすくなるので注意が必要です。

1−2 モンクレールファーが受ける影響

ダウン本体のシミやよごれと比べて汚れの目立ちにくいファーですが、悪天候の中で着用することの多い衣類ですので、雨や雪の中に含まれた塵や埃、空気中に含まれた花粉や排気ガスなども吸収しています。なかなか意識しにくい部分の為、汚れが蓄積しやすく虫による食害が懸念されます。毛の部分が食害に合うと毛がちぎれてしまいます。皮の部分が食害にあってしまうと破れてしまったり毛抜けが起こる可能性もあります。ファー全体のシルエットが悪くなったり、部分的にボリュームが薄くなってしまうことにつながります。また湿気に弱いため、通気性の悪い環境での保管はカビの発生の原因にもなります。

※PROSHOP HIRAISHIYAではファー(リアルファー・レプリカ)のみのクリーニングも承っております。ファーの大きさや素材によって料金が追加となる場合がございます。

※モンクレール以外のブランドも承っております。

1−3 高級ブランド【モンクレール】でも影響はあるのか

最高品質の厳選されたダウンを使用している超一流ブランドのモンクレール。「モンクレールのダウンだから大丈夫だろう」とモンクレールの品質に大きく期待してしまうところですが、湿気を吸収するという事実はどのダウンでも変わらないのでモンクレールのダウンでも、繰り返し着用していればボリュームの減少は起こってしまいますし、適切な環境で保管しなければカビ発生の可能性もあります。モンクレールダウンのクリーニングと併せてファーのクリーニングも多くご依頼いただきますが、お預かりした時点ですでに毛抜けが起きているケースもありました。もしご不安な点などがございました際には、クリーニングのご依頼を頂く前に一度ご相談くださいませ。

世界的な人気を誇り、当社でも最もお預かりする件数の多いブランドであるモンクレールを一例として説明をしてきましたが、今までご説明したこれらの影響はモンクレールでも他のブランドのダウンでも同様に起こりうるものです。同じモンクレールの一着でもメンテナンスや保管の仕方次第でダウンのシルエットやダメージに大きく差がでます。次節では梅雨の間の保管方法について詳しくご説明していきます。

2.ダウンを清潔に保管するには

ダウンに限らず礼服などもそうですが、久しぶりにクローゼットから出したところカビが生えてしまっていたのでクリーニングして欲しい、というケースが多いです。ここでポイントとなるのはずっと仕舞ったままの状態だったという事です。では、ここからはカビが好む環境と、それを作り出さないための方法についてご説明していきます。

2−1 カビの好む環境

カビは【高温】【多湿】【密室】この三つがそろう環境をとても好みます。どこからが高温・多湿に当たるのか具体的な数字を挙げると、20~30℃の気温で70%以上の湿度のある場所です。さらに細かい条件を挙げると25~28℃が最もカビの生育に最適な環境で、湿度80%以上で一気に繁殖が進むとされています。6月から9月は特に湿度が高く、場所によっては7月頃は90%近い湿度になる日もあります。この90%という数字はあくまで外の湿度となります。

基本的にクローゼットの扉は常に閉められているので、密室の時間が長くなります。扉が閉まったままになっていることによって風通しが悪く湿気や熱の逃げ場がなくなってしまうため、室内とはいってもクローゼット内でも75~85%近くなると想定されます。

下記の表のとおり、東京都では6月以降最高気温の平均値は夏日とされる25℃を超え、8月には30℃を上回ります。同時に6月から9月にかけては湿度も80%に近い状態が続きます。この約4か月の間に定期的なメンテナンスを怠ってしまうと、カビがどんどん増殖していきます。

東京都 最高気温の月平均値(気象庁HPより)
東京都 相対湿度の月平均値(気象庁HPより)

2−2 カビが生える環境をつくらない①

ここまで、カビが好む環境について具体的な数字を用いてご案内してきました。続いてはそのカビが好む環境を作らない方法について説明していきます。

前述したとおり、クローゼットを占めたままにしておくことによって、空気の逃げ場がなくなり中の温度がどんどん上昇していきます。ですので、すぐできる第一の対策として【こまめな換気】をおすすめします。昨今のコロナ化の影響でご自宅でも換気することをも増え、我が家は大丈夫と思われているかたもいらっしゃると思いますが、その際クローゼットの扉は空いていますか?クローゼットは箱型で広さも然程ありません。もともと光や風も入りにくければ熱も籠りやすい形状です。そこにさらに住宅の間取りの面でデメリットが加わってきます。

間取り図のサンプル
居室は南側に、収納は北側にまとまっています。

上の間取り図を参考に説明しますと、南側は光を取り込みやすいので1階にはリビングや和室を、2階は子供部屋やベランダなどを配置することがほとんどです。そのため大きめのウォークインクローゼットは北側に、居室内のクローゼットや押し入れも北側寄りに設置されます。これにより外からの空気が取り入れにくくなってしまいます。ぜひ室内を換気する際は窓だけでなくクローゼットの扉も全開にして意識的に、空気の通り道を作ってみてください。換気する際の時間の目安としては少なくとも1日に1回、30分~1時間が理想です。

雨の日に窓を開けてしまうとかえって室内の湿度が上がってしまいますので、雨天時は避けましょう。ただし、雨が数日続く場合には除湿器などを使って湿気を取り除いたのち、サーキュレーターや扇風機を使って空気の流れを作ってみましょう。

2−3 カビが生える環境をつくらない②

①でお伝えした【こまめな換気】【風の通り道】にも付随してくる内容となりますが、第二の対策として【物を詰め込みすぎない】ことです。たくさんの衣類を収納してしまうことによってクローゼット内の隙間がなくなり、空気の流れが悪くなります。それにより湿気や熱がこもりやすくなり、カビの好む環境を作りやすくなってしまいます。場所いっぱいに詰め込まず、70~80%くらいを目安に収納することで服と服の間に隙間を作ることができ、風の通り道が出来ることによって換気の効率もよくなります。

また、クリーニング後の衣類にかかっているビニールをはがさずにそのまま収納するのも空気の通り道をふさぐ原因となりますので、クリーニング後ご自宅に持ち帰られたら、ビニールを外して収納してください。

2−3 カビが生える環境をつくらない③

ダウンは特に着用するたびにクリーニングするものではない為、どうしても汚れは蓄積していってしまいます。ですがカビはその汚れ(汗や皮脂汚れ、ほこりなど)を栄養として繁殖しますので収納時にはできるだけこれらを持ち込まないよう工夫が必要です。クリーニング以外で出来る対策としては、⑴収納前に乾燥させておく・⑵軽くふき上げをする(ブラッシング)です。乾燥させて少しでも衣類に含まれた汗・湿気を取り除くことが大切です。また、乾燥後は付着した汚れやほこりを拭き上げる(ファーなどはブラッシング)ことでカビが好む栄養源を除去することが出来ます。雨天時の外出から帰った際は特にこのような対策は有効です。雨の中に含まれているほこりがダウン本体やファーに付着しているためです。ダウンと一緒に収納している衣類についても同様の対策を行うことで、クローゼット内にカビが広がるのを防ぐことが出来ます。

3.クリーニングがまだお済みでない方

ここまで、お家でのメンテナンスについてご説明してきましたが、つづいてまだダウンのクリーニングが済んでいない方、クリーニングのタイミングを逃してしまったという方に嬉しいコースをご案内いたします。

3−1 ぜひ【保管コース】をご利用ください

こちらのコースはクリーニングと併せて、次の着用シーズンまでダウンを預けておくことが出来るサービスです。最大で12か月の間お預かりが可能となっており返送時期はお客様ご自身で選択可能です。上旬・下旬の選択も可能で、ご指定いただいた返却時期の一か月前には当社より【お届けお知らせメール】をお送りしております。また発送完了後にはお荷物伝票番号を記載した【発送完了メール】をお送りいたします。(ヤマト運輸様よりお届けいたします。)

3−2 コース選択方法

ご注文フォームにてお名前やご住所等のお客様情報をご入力いただき、続いてクリーニングするダウンのブランドや色、追加オプションをご選択いただいた後、確認情報のご入力という項目の中の【納期について】のプルダウンより【保管コース】をお選びください。

※注文後の特急コースへの変更又は通常コースや保管コースへの変更はお受けできかねますので、ご注文の際はご注意ください。

3−3 保管コースのメリット

ダウンクリーニング後、冬までご自宅で保管される方が多いかと思いますが、梅雨の季節に繰り返す蒸し暑さやジメジメへの対策は少し手間ですよね。保管コースは専用のスペースにて適切な環境で返却時期まで保管致します。きちんと温度管理をした環境下で保管するため、次の着用シーズンまでカビや虫に侵される心配がありません。また、ダウンはスペースを取る衣類の為、保管コースをご利用いただくことでご自宅の収納に余裕が生まれます。

3−4 保管コースのベストタイミング

保管コースでご注文いただくベストタイミングは3~6月、まさに今の時期なんです。冬のうちに蓄積した汚れは出来るだけ早いうちにクリーニングで落として収納・保管することがダウンを清潔に保つポイントとなります。「冬前(9~11月ごろ)に出せばいいかな」と思っていらっしゃる方もいるかもしれませんが、実はここに落とし穴があります。着用中にかいた汗がカビを繁殖させる原因になってしまったりシミになってしまったりする可能性があります。シミは時間が経てば経つほど落ちにくくなります。手遅れになってしまう前に早めにクリーニングに出すことをオススメします。

ダウンクリーニングだけでなく、場所の確保に最適な環境下での保管と、併せて一石三鳥で嬉しい【保管コース】をぜひこの機会にご活用ください。

◉保管コースについて詳しくまとめた記事はこちら

まとめ

さて、今回はモンクレールのダウンを例にしながら、梅雨入り前後のダウンメンテナンスについてご紹介させていただきました。ボリュームの減少やカビなどの衣類トラブルにもつながる可能性のある季節ですが、こまめにお手入れをすることでご自宅でもきれいに保管することが出来ます。クリーニングも管理も丸ごとお願いしたいというお客様はぜひ【保管コース】でのご注文も是非ご検討ください。

注文方法や現在のダウンについてご不安な部分、クリーニングの内容について確認したいことがある場合は無料カウンセリングや電話注文も承っておりますので下記リンクよりお気軽にお問い合わせくださいませ。

【無料カウンセリング】https://downjacket.pro/contact/

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