袖口ゴム交換について
2023.10.27
皆様は袖口について考えを巡らせたことがございますでしょうか?
袖口とは袖の先にある手を出すための穴周りのことを指します。袖口の形が異なるだけで衣服そのものの印象を変えたり、温かさが異なってきます。
ダウンジャケット、ダウンコートの袖口はそのほとんどにゴムやリブが付いており、袖から暖かさが逃げないような構造になっています。
そんなダウンウェアの袖口は手の近くにあるということで擦れや刺激が多い部位でもあります。PROSHOP HIRAISHIYAにも袖口に関するご相談は多く寄せられており、擦れによる白化、穴あき、リブの劣化、ゴムの千切れなど種類も様々です。
今回はその中でも袖口のゴム交換についてご紹介させていただきます。
目次
1.袖口のゴム
「袖口のゴム」と言えど、ゴムだけで構成されているものや、ゴムとスナップボタンが組み合わさっているもの、ファスナーテープと組み合わされているものなどその形状は様々です。
1-1 袖口ゴムの役割
袖口のゴムはダウンウェアなどの防寒着において非常に重要な役割を持っています。
最初に記載した「暖気を逃がさない」こと、それから「冷気を入れない」ことです。
これは皆様も一度は経験があると思いますが、袖口が締まっているものとそうでないものでは暖かさがまったく異なります。
ダウンウェアは非常に優秀な防寒着ですから、袖口でも暖気を逃がさず、冷気を入れないということが重要になってくるんですね。
1-2 リブとは違う?
袖口ゴムとよく混同されがちになってしまうのは「リブ」でしょう。
リブとは英語であばら・肋骨を指す「rib」のことですが、ファッション・アパレル会では織物や編み物の「うね」を指して呼ばれています。袖口や裾、襟元につけられることが多く、伸縮性が特徴です。着心地が良く生地への負担を減らす役割もあり、ジャージやトレーナーにもよく見られますね。
2.袖口のゴムの劣化
ゴムは劣化してくると伸びてきて、しまいには千切れてしまいます。袖口ゴムの場合は生地で包まれているため緩くなっても袖が際限なく伸びるということはありませんが、やはり締まらないとどうしても防寒具としての機能を果たせなくなってしまいます。
また、デザインによってはゴムが伸び切ってしまっていることがパッと見でわかることもあり、見た目的にもあまり好ましくないですね。
2-1 袖口のゴムの劣化
袖口のゴムは経年と使用状況、保管状況など様々な要因によって劣化していきます。
皆様も一度くらいは輪ゴムが劣化して硬くなったり柔らかくなったり千切れたりしているのを見たことがあると思いますが、それと同じように袖口のゴムも劣化します。これは高級ダウンのブランドだからしない、高価ではないダウンだからする、というわけではなく、全ての袖口ゴムに起こり得ることです。
ゴムの劣化の要因として主に挙げられるのは「オゾンによる酸化反応」や「熱・光・紫外線などによる化学反応」です。長らく使用せず放置しているとゴムが硬化してパリパリになっていたり、逆に軟化してベタついていたりしますよね。
また、普通に使用を続けていてもやはり実体のあるものには寿命があります。長く使用しているとゴムが伸び切ってしまうということもありますね。
劣化してしまったゴムは再生することができません。
そのためダウンウェアの袖口ゴムが劣化してしまったらゴムを交換してお直しが可能です!
2-2 交換の目安
ダウンウェアの袖口ゴムが劣化したら交換修理にてお直しが可能です。
それでは袖口ゴムの交換時期はいつ頃が良いのでしょうか?
これについてはお客様ご自身が「気になってきたら」が良いタイミングと言えるでしょう。
袖口のゴムに限らず、穴や破れ、変色など起こっている症状についてどう感じるかはお客様次第です。
多少の穴や破れを全く気にしない方もいれば、針孔ほどの穴が気になるという方もいらっしゃいます。それと同様に袖口ゴムの劣化についても伸びきっていても気にならない方、少しでも緩んできたら交換したい方、本当に人それぞれです。
そのためPROSHOP HIRAISHIYAではダウンウェアの袖口ゴムが劣化していてもお客様からのご依頼がない場合は特に交換修理をご提案しておりません。
~全体染めにおける袖口ゴム劣化のリスク~
PROSHOP HIRAISHIYAでは変色や白化したダウンウェアの全体染めも行っております。全体染めでは高温漬け込みによって染色を行っており、様々な症状が起こり得る可能性がございます。
袖口ゴムの劣化もその一つで、染色前はその兆候がなくても劣化が始まっている場合は全体染めを行うことで熱が加わり、劣化が一気に進んでしまうことがあります。
全体染めを行う際は、こういった症状が起こる可能性があることについても認識していることが重要です。
※全体染めの際に起こり得る可能性がある症状については当社利用規約に記載がございます。
3.袖口のゴム交換修理の流れ
それでは袖口のゴムの交換修理の流れについてモンクレールダウンを例に見ていきましょう。
3-1 検品
モンクレールダウンの袖口ゴム交換をご依頼いただき、実際にダウンが到着したらまず検品を行います。お送りいただいたモンクレールダウンのご状態がどのようになっているのかを確認する工程です。
モンクレールダウンの場合、ご希望の修理箇所の他アニメラベルがほつれたり破れたりしていないか、肩口のワッペンは汚れていないかなども確認いたします。
3-2 お見積もり
検品で状態を確認したら、今度はお見積もりをいたします。
どのような修理が必要なのか、その修理費用はいくらになるのか十分に検討し、メールにてお客様へ金額や修理内容をお送りしております。袖口ゴム交換の場合は大抵が両袖のゴム交換となりますためその分の金額をお出ししていています。
お見積書兼ご請求書はマネーフォワード請求書のメールアドレス(do_not_reply@moneyforward.com)からお送りしています。注文受付時や検品完了メールとは別のアドレスですのでご注意くださいませ。
3-3 修理
お見積書兼ご請求書の送付後はいよいよ修理を行います。
袖口ゴムの形状や構造にもよりますが、大抵の場合は生地の中にゴムが入っていますため一度縫い目を解いて生地を開かなければなりません。モンクレールダウンで多く見られるのはゴムとスナップボタンで袖口を留めるタイプで、スナップボタンを取り外すことなくゴム部分だけ交換することも可能です。※形状によってはスナップボタンも取り外さないと交換できない場合もあります。スナップボタンは一度取り外すと再利用ができないため代替品への交換となります。
修理後、クリーニングも希望されている場合はクリーニングへ移ります。
3-4 乾燥・仕上げ
修理が完了したモンクレールダウンはそのまま発送されるわけではなく、一度乾燥と仕上げを行っております。乾燥させることで中の羽毛の水分を飛ばしふっくらとさせ、アイロンで仕上げることで修理中に付いたシワ等を伸ばします。
※クリーニングをしたモンクレールダウンももちろんアイロンで仕上げを行います!
3-5 最終検品
仕上げまで終わったらもう一度検品を行い、包装(カバーがけ)をします。
ゴムはきちんと交換されているか、縫い目はおかしくないか、別の汚れはついていないか等、1着1着スタッフが目視で確認をしています。
クリーニングも行ったモンクレールダウンの場合はアニメラベルが取れていないか、肩口のワッペン・その他袖や襟元・生地に毛玉はついていないか等を確認しています。毛玉がある場合は取り除いてからモンクレールダウンにカバーをかけています。
3-6 発送
モンクレールダウンにカバーをかけたらお客様の元へお届けいたします。
大きめの当社オリジナル段ボールに包み紙を敷き、カバーとハンガーが付いた状態のモンクレールダウンを二つ折りにして梱包しています。ふっくらと仕上げたモンクレールダウンをできる限り潰さないようにしています。
4.まとめ
今回は袖口のゴム交換修理とその流れについてをご紹介させていただきました。モンクレールダウンを例に挙げましたが、モンクレールに関わらずカナダグースやタトラス、その他ブランドのダウンウェアでも同様の工程で作業を行っております。
袖口が緩くなってきた……
なんだか袖から冷たい空気が入ってくる……
そんな時は袖口のゴムが劣化している可能性があります。お困りの際はぜひPROSHOP HIRAISHIYAの「無料カウンセリング」にてご相談くださいませ!
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