穴・破れの修理について

2023.09.15

大切なダウンウェアが破れてしまったり、穴が開いてしまったりして着られなくなった経験はございませんか?
ダウンウェアは一般の修理店では受け付けてもらえないことも多く、諦めてしまったことがある方もいらっしゃるのではないでしょうか。

PROSHOP HIRAISHIYAではダウンウェアのクリーニングの他、修理も承っております!

今回はダウンウェアの修理についてご紹介させていただきます。


1.破れ・穴あきについて

ダウンウェアの破れ・穴あきは、衣服の構造によっては中の羽毛も出てきてしまうことがあり、それが一般の修理店で断られてしまう原因の一つでもあります。

ダウンウェアに限らず布団やクッション等、羽毛製品が破れて中の羽毛が出てきてしまった経験がある方はわかると思いますが、羽毛が出てきてしまうと処理が大変ですよね。

万が一ダウンウェアが破れたり穴が開いてしまった場合には負荷がかからないよう着用を控え、羽毛が出てきてしまっている場合には着用しないことをお勧めいたします。
羽毛が出てくるからといって傷口を接着剤で塞いだり、荒い糸で縫ったりすることはやめましょう! どうしても気になる場合は応急処置としてマスキングテープ等剥がしやすいテープでとめる程度に留めておき、プロに修理してもらうのがお勧めです。(PROSHOP HIRAISHIYAにダウンを送るときもそういった状態で送っていただくと非常に助かります)
※たまに接着剤で穴を固めてしまう方がいらっしゃいますが、そういったことはしない方が後々綺麗に直ります!


1-1 破れ・穴あき

「破れ」「穴あき」は様々な要因で起こる可能性がある症状です。

出っ張りに引っ掛ける、熱で溶ける、ファスナーで噛む、どこかに擦れる・ぶつける、シミ・汚れを放置する……等々。原因によって破れ方・穴の開き方が異なり、場合によっては破れと穴以外の症状も見られる可能性がございます。

破れや穴の周りは付随して生地と繊維が弱まっていることもあり、放っておくと破れや穴はどんどん広がっていってしまう傾向にあります。

そのため万が一破れたり穴が開いてしまったりしたときには放置をせず、お早めにお直しすることをお勧めいたします。

■「シミ・汚れの放置」でも穴が開く?

実はシミや汚れを放置していても穴の原因になる可能性があります。
シミ・汚れは生地を酸化させ、だんだんと劣化させていきます。劣化が進むと繊維がダメになってしまい、穴が開いてしまうという仕組みです。
そのためシミや汚れも放置せず、早めにクリーニングと染み抜きをすることをお勧めいたします。


1-2 ダウンパックの有無

ダウンウェアには「ダウンパック」と呼ばれるダウンを入れておくための袋状のものが入っている場合がございます。表地と裏地の間にダウンが入ったパックがあるイメージですね。
生地からダウンを出さない役割があり、洗った時もこのダウンパックのおかげで必要以上にダウンが偏らなくて済むのです。

また、万が一表地が破れてしまったときにダウンパックがあると直ぐに羽毛が出てくることを防いでくれる場合もあります。
もちろんダウンパックは表地や裏地と接触しているため、生地が破れると原因によっては一緒に破れたり穴が開いたりする場合がございます。それでもワンクッションが有るのと無いのとではやはり差が出てしまいますね。

とはいえ、ダウンパックの有無はダウンウェアとしての良し悪しを決定づけるものではございません。それぞれに良さがあり、ブランドが作りたいものを表しています。PROSHOP HIRAISHIYAの目線から見ると修理がしやすいかそうでないか、という違いはございます。


1-3 修理をするのにクリーニングは必要?

基本的に修理をするだけであればクリーニングは必要ありません。

しかし、逆にクリーニングをするのに修理が必要な場合は多くございます。

クリーニングにはウェットクリーニングとドライクリーニングという2種類の方法がありますが、そのどちらとも多かれ少なかれ生地に負荷がかかります。とくにウェットクリーニングはドライクリーニングと比べると洗浄力がありますが、その分生地にかかる負荷も多いのです。
負荷がかかるということは、破れや穴があるとそこが広がってしまう可能性があるということでもあります。破れや穴の周りは生地・繊維が弱っている傾向にあり、その分症状が広がりやすくなっていることが多いです。

また、破れや穴があるとそこから中の羽毛が出てきてしまいます。
羽毛が出てきてしまうとダウンウェアのボリュームが減ってしまいますし、何よりクリーニング中に羽毛が出てくるとそれはもう大変なことになってしまいます。羽毛は軽くてふわふわしていて空気に舞いやすく、綿やウール等には引っ掛かり、ナイロンやポリエステルには静電気でくっ付く。とにかく扱いが難しいのです。
こういった特性のため、一度ダウンが飛び出してしまうと集めて戻すことは大変難しいです。

そのためクリーニングのみのご依頼であっても、ダウンに大きめの穴があったり、既に羽毛が出ていたりしている場合は修理をお勧めしております。

※中にはクリーニングをした方がよいものもあります。例えば破れや穴の周りが汚れていたりすると修理をしても直ぐにダメになってしまう可能性も0ではございません。

PROSHOP HIRAISHIYAでは原則としてオプションや修理をご提案することはございませんが、確認されたご状態によってはどうしても修理が必要な場合がございます。そういった際にはお見積もり時に確認のメールをお送りしておりますためご安心くださいませ。


2.修理方法

破れ・穴あきの修理方法はいくつかございます。今回はその中でも多く使われる「貼り付け修理」「縫込み修理」「かけはぎ修理」をご紹介していきましょう。


2-1 貼り付け修理

縦に破れている表地

貼り付け修理は、穴や破れがある箇所と同じ生地をダウンウェアから取り、上から強力な接着剤で張り付ける修理方法です。
ほとんどの場合はポケットの中から生地を取ります。ポケットの中から取れない場合はそれ以外の箇所……裾の内側やフードからとることもあります。目立つような場所からとる場合はお見積もり時にお客様へ確認しておりますためご安心くださいませ。※生地を取った部分には代替生地を縫い付けます。

貼り付け修理後の様子。縫い目から縫い目にかかるように生地を張り付けている。

■貼り付け修理の注意事項!

迷彩やストライプ等の柄がある場合は極力合わせるようにいたしますが、取れる生地の関係上どうしても難しい場合もございますためご留意くださいませ。
また、同じ生地が取れたとしても、日焼けや色褪せなどの変色がある場合は色が合わない場合もあります。表地は常に外に出ているため紫外線等の影響も受けやすく変色の可能性は十分にありますが、ポケットの中は外からの影響を受けにくいため変色することは珍しいです。そのため、元は同じ色の生地だったとしても変色しているところに変色していないポケットの中の生地を張り付けるとどうしても色の差が出てしまうことがあります。


2-2 縫込み修理

こういった穴の場合に縫込み修理なります。

縫込み修理は、主に縫い目の近くにできた穴の修理をするときの修理方法です。

穴の近くの縫い目を解き、もう一度縫う際に穴を隠すように入れ込んで縫います。
他の生地を張り付けたり縫い付けたりはしないため、修理したことがわからないくらい綺麗に仕上がります。

ただし、この修理方法は縫い目の近くの穴でなければ使用できません。縫い目からおおよそ1センチも離れていれば、縫込み修理は難しいものとなってしまいます。
というのも、上記でご説明いたしました通り、縫込み修理は穴の分内側に生地を縫い込む修理方法です。その分表面に出る生地の面積が少なくなり、注意をしなければ縫製に歪みがあるように見えてしまいます。

そのため縫い目付近の擦れや擦れ穴がある場合によく使用されます。

2-3 かけはぎ修理

かけはぎ修理は修理の中でも技術的に最高峰と呼ばれており、穴や傷があったことがほとんど分からなくなる修理方法です。
修理には生地の繊維が重要となっており、ウールや綿などの生地のときにのみこの修理方法が可能です。とくにナイロンやポリエステルが100%の場合、かけはぎ修理は不可となります。

3.モンクレールの事例

PROSHOP HIRAISHIYAにはモンクレールダウンの修理も多く承っております。
破れや穴だけでなくファスナーの交換やアニメラベルのほつれ修理等、様々な症状に対応しておりますが、今回は前項でご説明しておりました「貼り付け修理」「縫込み修理」「かけはぎ修理」の3つについて例を挙げながらご紹介させていただきたいと思います。


3-1 モンクレールダウン 貼り付け修理

ビフォー
アフター

袖の縫い目(ステッチ)付近が破れてしまっています。
こういった場合、縫い目の上から生地を張り付けるとかなり不格好になってしまいますため、一度縫い目を解いて生地の貼り付けをしてから再度縫い直す手法をとります。そうすることによって見た目もよくなり、貼り付けた部分の強度も上がります。
また、四角ではなく丸で張り付けることにより角から剥がれる不安も軽減されますね。


3-2 モンクレールダウン 縫込み修理

ビフォー
アフター

こちらはウールのモンクレールダウンです。

袖内側に擦れによる穴が開いてしまっていますね。
非常に縫い目に近いため、縫込み修理が可能です。
縫い目を一度解き、開いた穴を中に入れ込むようにして隠してしまいます。
穴があったことがわからないくらい綺麗に修理されていますね!

モンクレールダウンでもウールや綿を使用しているものは擦れによる穴が開くことが多く、袖だけでなく裾付近にも穴が開いているというご相談を受けることが多々あります。範囲が広くてもこの修理方法であればなんとかできる可能性が高いですので、ぜひ一度ご相談されることをお勧めいたします。

3-3 モンクレールダウン かけはぎ修理

ビフォー
アフター

こちらもウールのモンクレールダウン。

首の後ろに当たる部分に穴が開いてしまっています。おそらく虫食いでしょう。
ウール素材ですのでかけはぎ修理が可能です。
裏地やポケット内など見えない部分から穴を埋めるられるだけの生地を取り、周りの生地となじませるようにして修理していきます。
どこに穴があったのかわからないほど綺麗に修理でき、修理後の凹凸も無いため好む方が多いです。


4.まとめ

今回はモンクレールの修理事例も踏まえ、穴と破れに関する3つの修理方法をご紹介させていただきました。もちろん修理方法はこれだけではなく、素材や位置によって適切な修理方法があります。修理をご依頼いただいた際には修理後の見た目や長持ちさせることも念頭に置いたうえで修理方法のご提案をしております。

大切なダウンに穴や破れができてしまうとショックですよね。でもそんなときは焦らず専門店に相談してみましょう!
処分をするのはそれからでも遅くはないはずです。
PROSHOP HIRAISHIYAでは「無料カウンセリング」というご相談フォームをご用意しております。穴や破れ以外の症状でもお気軽にお問い合わせくださいませ。


≪お問合せ≫


≪SNS≫

  • 【インスタグラム】
    過去の修理事例や工場でのクリーニング作業の様子を毎日投稿しています

  • 【YouTube】
    モンクレールとカナダグースのダウンクリーニング(洗濯~仕上げ)中の様子を社長のわたなべの解説付きで公開中。その他にもクリーニングについての情報やモンクレールの特徴など、クリーニングに関する役立つテーマが盛りだくさんです。


≪ご注文はこちらから≫

  • 【ご注文フォーム】
    ネット注文は24時間いつでも注文可能!

  • 【電話注文】 0243-24-9292
    受付時間:午前10:00-12:00/午後13:00-17:00