糸引き・ほつれについて

2022.04.28

糸引きやほつれは着用中によく起こってしまう症状の一つです。そのため、修理依頼も大変多くなっております。糸引きもほつれも症状は同じように見えますので、明確な違いというのはないのですが、簡単にいうと、糸がひっかかって糸が飛び出していたり、糸がほつれて無くなってしまっている状態のことをいいます。辞書で調べると「糸引き」は糸を引き伸ばしたようになること。「ほつれ」はもともとあった形のものが解かれる症状となります。ではこういった症状になってしまったらどうやってお直ししていくのかご説明していきます。

1.糸引き直しについて

糸引きは糸が解かれた状態なので、お直し方法はほつれに比べてお直ししやすい方ですが、場合によっては時間がかかるものもあるので、そういったところをご説明していきます。

1−1糸引き直し(初級編)

ただ糸が引っ張られているだけの場合は、糸を押し込んでお直し出来てしまう場合もあります。この場合は飛び出ている箇所のところを中に押し込んであげるといった感じになります。

1−2糸引き直し(中級編)

あまり強く引っ張られていたりと状態によっては、押し込むだけではなおならい場合もあります。そういった場合は、一度ほつれた部分の周りをすべて解いて、表地と裏地を分けてお直ししていく修理方法になります。これは全体を解くという作業になりますので、難しくなります。

1−3糸引き直し(上級編)

強く引っ張られていて、なおかつ横も一緒に釣られて変形する場合があります。この場合は、全体を解くのはもちろん、縦糸と横糸を調整して正常の状態に戻す作業となります。これも結構大変なものです。

2.ほつれ直しについて

本来ある方形のものが解かれているので、現状の状態を維持していないことが多いです。この場合は、無くなっている糸を補填して直していくという工程になります。では具体的にご説明していきましょう。

2−1少しの面積のほつれの場合

少しの面積のほつれの場合は無くなっている糸の部分を同じ色の糸を使って手縫いで修正をかけていきます。ポケットの縁のところや縫い目等によく起こりがちです。そちらは比較的わからないようにお直し可能です。

2−2毛糸や少し大きめのほつれの場合(中級編)

毛糸のように糸が切れてしまっている場合や素材により、わからないように同じ色の同じ素材に近いものを探して手縫いしていきます。しかしこの場合、縫製により多少修正したところは周りに比べて違和感が出る場合が多いです。縦糸と横糸の関係でどうしても完璧にはいかない場合が多いです。

2−3大きめのほつれの場合(上級編)

広範囲にさけている場合は、全部交換することが可能であれば、交換してしまったほうが結果きれいに見える場合が多いです。また、穴のところをまつってしまい隠してしまうといった方法もあったりと、色々な修理方法があります。下手に無くなった部分のところを修正しようとすると、中級でも述べた通り、余計修理跡が目立ってしまうケースがあります。特に目立たない場合はいいですが、よく見える場所の場合は、交換できる場合はそのほうがいいと思わわれます。

3.料金はどのくらいかかるか?

気になるのはほつれ・糸引きの修理代だと思います。具体的にどのくらいかかるのかご説明していきます。

3−1糸引きの修理料金

修理内容、素材、面積によって大きく違ってくるので、一概に言えませんがだいたいでいうと4,000円位からです。はっきり申し上げたいところではありますが、これはまず構造をみて、どうやって行うかはその製品によって変わってくるため受ける前に見ないで正確な料金を出すのは出来かねます。

3−2ほつれの修理料金

こちらも糸引きと同じく4,000円位からです。上記と同じように正確な料金は見てからとなります。

3−3代替え交換

説明欄で述べましたが大きな面積の場合は交換という方法があります。例えばリブが全体的にほつれたという場合は、そのリブをまるごと交換するという流れになります。その場合は両袖で18,000円位です。これも形状によりますので、はっきりとしたお値段は見てからとなります。また、他の箇所も交換できる場合はそうような対応となり、料金もお見積りとなります。

4.糸引きとほつれの修理納期について

こちらは出す時期によって大きく変わってくるのと、出すコース(特急便、通常便等)によっても変わってきます。詳しくはPROSHOP HIRAISHIYAのトップページより納期でお調べください。

まとめ

糸引きとほつれは似た性質がありますが、直す方法は弱冠違ったりします。また、お直し全般に言えることですが、その素材、状態、面積、形状によってお直し方法は千差万別です。どうしてもお直し出来ない場合もあります。また、事前に写真でお見積りもおおよそのお値段は言えたりしますが、正確な金額は実際に見てからになります。まれに最初の見積もりとおおきく違ったなんてこともあります。そういった場合は、実際に見たときに思っていたのと形状が違ったりしてなる場合もあります。そのため、大変申しわけございませんが、一度見させていただいてからの料金とさせて頂いております。是非ともお困りのものはご検討ください。

記事執筆者:クリーニング師 わたなべたかのり
国家資格を取得してから30年。ダウンや衣類のメンテナンス数は軽く100万着を突破。染めの技術も取得してシミ、リペア、染め替えの技術をもつ職人兼経営者