袖の縫い目・スレ穴について
2022.04.15
袖の縫い目スレの放置にはご注意を!?
ダウンはじめ他の衣類もそうですが、生地と生地をつなぐために衣類は縫製がされております。その縫製された部分というのは全体の強度で言うととても弱いものになっております。そのため、外的要因による負荷やクリーニングによっても消耗してくる部分となっており、消耗する箇所の代表的な箇所となります。こういった症状は避けられないもののため、そうなってしまったら早めの修理が必要になってきます。では、どんな生地のダウンやその他衣類がそういったスレになってしまうのか見ていきましょう。
目次
1.どういった生地が起こりやすいのか?
ダウンやその衣類といっても生地は様々あり、すべてそうなるというわけではございません。中には全然スレ穴が出来ない素材もありますし、すぐにスレ穴が出来てしまうもの、時間が経つと出来てくるもの等表面化される形は様々です。では具体的にどういった素材ができやすいのかご説明していきましょう。
1-1.ウール素材のダウンやその他衣類
ウール素材のダウンはとてもデリケートなため、擦れやすい袖裏等は特にスレ穴ができやすくなっております。
1-2.ポリエステル素材のダウンやその他衣類
ポリエステル100%のものは曲げるという力に弱く、縫い目はどうしても曲がっていることが多いため、穴ができやすくなります。
1-3.ポリエステルを含む混合素材のダウンやその他衣類
ポリエステル●●%、綿●●%というようにポリエステルを含む混合素材もよく袖の縫い目が擦れて穴が開きやすくなっております。
2.どういった方法でお直ししていくのか?
ここでは袖のスレ穴が出来てしまった場合にはプロショップひらいしやではどうやってお直しするかをご説明していきます。状態によって様々な方法がありますが、今回は当社の代表的なお直し方法をご説明させていただきます。
2-1.穴付近全体を解く
まずは穴付近全体を解いて分解した状態を作ります。
2-2.穴付近を内側に縫い込む
穴の部分だけを下手に直そうとすると余計修理跡が目立ってしまうため、まずは穴を隠すように生地の内側に入れてしまいます。
2-3.再縫製する
一度解いて中に入れた状態にしてあるので、あとはその状態のまま縫い込んでしまいます。縫い込んだ分、生地は多少短くなりますが、ほんの一センチ程度なので、着心地、見た目共に問題は有りません。
3.袖スレを放置しているとどうなってしまうのか?
袖スレ穴を放置しているとどうなってしまうのかをご説明していきます。
3-1.余計穴が広がる
擦れた穴は着用の回数や状態に応じてどんどん広がっていきます。
3-2.保温性が低下していく
本来、ダウンやその他衣類のもっている特性が出るのは生地が100%正常な状態の場合です。それが一部分でも穴が開いてしまったりすると本来持っている保温性等が失われてしまいます。
3-3.下地が痛む
表面の生地が破れていれば中の下地が丸裸の状態にあるため、傷がつきやすく、一度傷んでしまうと修理しても直らなくなる場合があります。
まとめ
袖のスレ穴が出来てしまったら、広がる前に早めにお直しすることが大事になってきます。少しでも早く直すことが、結果修理代がお安くすみます。放置しているとその分、余計に修理代がかかってきてしまいますので、れくらいが大丈夫だろうとたかをくくっているといつの間にか穴が開いて中の芯地が傷んで取り返しがつかなくなってからでは遅いので、早めの対策をお願いいたします。
記事執筆者:クリーニング師 わたなべたかのり