ダウンクリーニングとSDGs(環境問題)について
2023.07.07
近年【SDGs】というワードをあらゆるところで耳にするようになりましたね。街中のポスターやテレビコマーシャル、さらにはテレビ番組で特集が組まれていたりしています。この取り組み自体は2015年から掲げられている物ですが、なぜ今これほどまで重要とされているのかご存じでしょうか?本日はこのSDGsと我々が行なうダウンクリーニングとの関係性、そして超人気ブランド「モンクレール」が行っている取り組みについてご紹介していきます。
目次
1.SDGsとは
見聞きする機会が多く、入ってくる情報でなんとなくわかっているという方が多いのではないでしょうか。まずはSDGsがいつ・何のために掲げられたのか、についてご紹介していきます。
1−1 SDGsの成り立ち
実は、SDGsよりも先にMDGsというものが2000年に掲げられました。これはミレニアム開発目標というもので、極度の貧困や飢餓の撲滅などを含む8つの目標を掲げ、その達成期限を2015年までと定めたうえで一定の成果を挙げました。成果例としてはインターネットの普及率を世界人口の6%から43%まで増加(2000年時点)、HIVの新規感染者2000年~2013年の間で約40%低下などが挙げられます。その一方で女性の地位格差や二酸化炭素の排出量など達成できなかった課題もありました。
それらMDGsでクリアできなかった課題や新たに生まれてくる環境問題や社会問題に取り組むために誕生したのがSDGsです。
1−2 SDGsとは
MDGsでは8つの目標でしたが、SDGsではさらに増え17の目標になりました。これは先ほども述べた通り、新たに生まれてくる環境問題や社会問題に取り組むために増えた項目があるためです。さらにその目標を達成するための169のターゲットを制定し、これらは開発途上地域ではない地域も含めた世界規模の目標として定められました。期限は2015年~2030年とされており、今まで国連や政府主体だったのに対し、国や自治体さらには民間企業そして個人もこの取り組みの主体対象となっています。なので個々人への意識づけの為にテレビやポスターなど多くの人が目にする媒体で呼びかけなどを行っているわけです。しかし2015年から行っているにもかかわらず、頻繁に耳にするようになったのはここ数年の話。なぜ制定から5年以上経った今ごろになってこれほどまで大きな動きを持ち始めたのでしょうか
1−3 なぜ今こんなにもSDGsが取り上げられているのか?
まず一つの要因として昨今のコロナウイルスによるダメージが大きかったことが挙げられます。上記の図の番号に当てはめるとすれば❶貧困(ウイルス罹患・時短営業による就業時間の減少や失業者の増加)、❸健康と福祉(罹患者や死者の増加とそれに伴う医療崩壊)などです。
2つ目の要因として挙げられるのが、ウクライナでの戦争やその他の紛争による影響です。❷飢餓をゼロに(ウクライナ危機が世界の最貧困層の食糧不足の引き金となっている)、❽経済成長(コロナだけでなくウクライナ危機も世界経済の成長を遅らせる要因とされています。)などが該当します。
約25年後の2050年には世界人口が97億人に到達するとされています。77億人の現在ですら、感染力の高いウイルスや戦争の影響を受け、経済面や医療面に苦しんでいる中、さらに人口が増えれば食糧危機などますます深刻となることは明らかです。それだけでなく世界各地で異常気象による災害も問題視されており、対策が急がれています。それらの事実に対し国際社会が目を向け始めたため、今こうしてSDGsが大きく取りあげられているのです。
2.PROSHOP HIRAISHIYAとSDGs
SDGsの取り組みの対象の中に民間企業も含まれている、と先ほどご紹介しましたね。民間企業というのは国会や官公庁などの行政機関などに属さず、営利を目的とした経済活動を行う企業のことを指します。
民間企業は大きく12種類に分類され、さらにそこから中分類・小分類と細かく分類されています。我々PROSHOP HIRAISHIYA(クリーニング業)は大きい分類の中のサービス職業従事者の中の生活衛生サービスに分類され、そこから更に細かく分類された(小分類)クリーニング職に属しています。同じ生活衛生サービスの中には美容師、理容師があります。
さて、ここからは民間企業である我々PROSHOP HIRAISHIYAがつながりのあるSDGsについてダウンのクリーニングと修理に着目しながらお話をしていきます。
2−1 つくる責任 つかう責任
我々PROSHOP HIRAISHIYAがつながりのあるSDGsとして、⓬つくる責任 つかう責任(持続可能な消費と生産のパターンを確保する)が挙げられます。この目標にはさらに細かく11のターゲットがありますが、その中の1つ
“2030年までに、廃棄物の発生防止、削減、再生利用及び再利用により、廃棄物の発生を大幅に削減する。”
このターゲットについて深堀りしていきましょう。
2−2 SDGsと3R(スリーアール)
さてここで1つ皆さんに質問です。3R(スリーアール)をご存じでしょうか?
⑴リデュース、⑵リユース、⑶リサイクルの三つをまとめた名称です。これはパッと出てくる人も多いかもしれませんね。では皆さんは、これら3つの違いや取り組み例はご存じですか?それぞれの内容については以下の図の通りです。
実はこれらが、SDGsのターゲットの一つ、”2030年までに、廃棄物の発生防止、削減、再生利用及び再利用により、廃棄物の発生を大幅に削減する。”につながるのです。
様々な産業がある中で特に環境負荷が大きいと言われているのがファッション産業です。その原因の一つがライフサイクルの短さにあります。他の産業と比較しても、トレンドの影響とその変化の速さはすさまじいものです。新しいトレンドが生まれれば、今まで着られていたものはたちまち手放されていきます。この手放された衣類のほとんどが可燃ごみとして廃棄されています。日本国内で流通している衣類のうちリユースされるのは約20%ほど、リサイクルは約15%ほどで、残りの60%以上の衣類はごみとして処分されています。
この事実はSDGsの取り組みにも大きく影響しています。Tシャツが数百円で買えたり、靴下などが数点セットで1000円で買えたりと、安価に気軽に手に入れられる現代(大量生産・大量消費)ですが、その生産過程や着用後にはたくさんの衣料廃棄物が生まれ、それらは可燃ごみとして廃棄されるとそのまま焼却・埋め立て処分されます。その際に発生する二酸化炭素による大気汚染が大きな問題となっています。またそれだけでなく、製造過程での水の大量使用なども水質汚濁等の観点から問題となっています。
衣類は、破れてしまったりサイズアウトしてしまっても、クリーニングや修理をしたり他者へ譲ったりすれば長く着用することが出来、万が一廃棄するという場合でも廃品回収に出したり分別することで、再資源化することができます。現在大きな環境負荷の要因となっていますが、3Rを意識することでその負荷を軽減できる可能性を持っているのです。
2−3 PROSHOP HIRAISHIYAのクリーニングとリデュース
PROSHOP HIRAISHIYAでは、クリーニングだけでなくダウンの修理も承っています。これはまさに「リデュース」の1つ「修理をして長く使う」にあたるものです。長年着用していればどうしてもボリュームが減ってしまったりキズや破れが生じてしまったりするものです。しかし適切な方法でダウンクリーニングや修理を行うことでボリュームが復元したり、傷をふさいだりすることが出来ます。それによって、そこから更に長くダウンを着ていただくことが出来ます。
(ダウンクリーニングとボリュームに関する関係はこちらの記事でご覧いただけます。https://downjacket.pro/blog/2897/ )
「サイズアウトしてしまった」「変色してしまった」というような着用に際して影響が出てしまいもう着られないというケースでも、PROSHOP HIRAISHIYAがお力になります。サイズアウトの場合、洗えば問題なく着用できることがほとんどですので、多くの方がリサイクルショップへの持ち込みやオークションサイトやフリマアプリでの販売(リユース)を検討されるかと思います。もちろんきれいな状態で出品した方が売れやすい傾向にあります。しかしダウンは一般的な衣類と違ってご自宅での洗濯が難しい衣類です。かといって未洗濯のままでの出品を躊躇される方も多いのではないでしょうか。その際はぜひ当社でのクリーニングもご検討下さい。過去にとあるオークションサイトにて当社でのクリーニング履歴を記載して出品していただいていた事例がありました。また、ダウンの変色に関してもお客様より「クリーニングや染み抜きではどうにもならない為、着用をあきらめてしまった」、というご相談を受けることがあります。こちらについても、PROSHOP HIRAISHIYAでは、クリーニングと併せて染色という形でお直しが可能です。袖など部分的に変色してしまった場合でも、全体的に色あせてしまった場合でもご対応が可能です。
クリーニングだけでももちろんきれいに長く着用することが出来ますが、色あせたものを染色したりすることでまた一味違った魅力が生まれます。クリーニングだけでなく「修理」「染色」という選択肢が増えるだけで、さらに長く楽しく着用することが出来るのではないでしょうか。
3.モンクレールとSDGs
世界的人気を誇り、高級ダウンの代名詞ともいえるダウンブランド、モンクレール。当社でもお預かり数No1のブランドです。このモンクレールも環境問題に取り組む姿勢を示しています。ここからはモンクレールが掲げたサスティナビリティプランについてご紹介していきます。
3−1 モンクレールとBorn to Protect Sustainability Plan
モンクレールはサスティナビリティへの取り組みを強化するため、気候変動対策・循環型経済・公正な資源調達・多様性の強化・地域社会への還元、この5つの目標を主とした「Born to Protect Sustainability Plan」を発表しました。
モンクレールが掲げたこの目標の具体的な内容としてはCO2排出量削減、長く使用できるデザインや環境負荷の低い素材の使用とそれに伴う廃棄物削減、原材料の追跡と公正な調達、多様性を受け入れ異文化理解を図るためのプロジェクトを促進、ボランティア活動参加などによる地域社会の支援、といったものになります。
3−2 モンクレールのファーフリー宣言
モンクレールは全コレクションでのファーの使用を段階的に廃止していくこととし、さらにはナイロンの80%以上をリサイクルすることなども掲げています。
モンクレールは他にも「地球を守りより良い未来を創造するためのブランドの姿勢を反映した」という「ボーン トゥ プロテクト(BORN TO PROTECT)」コレクションを発表。モンクレールはすでに第2弾まで発表しており、再生ナイロンやオーガニックコットン、DIST認証を受けたダウンを使用したアイテムがラインナップされています。他にもモンクレールではダウンやウールなどについても特定のサスティナビリティ基準に沿って調達されたものを使用しています。モンクレールでの環境に配慮した取り組みは衣類だけにとどまらずパッケージにも変化がありました。ショッピングバッグやギフトボックスは再生紙や管理された森林から調達された紙でできており、持ち手は有機綿で作られています。ガーメントカバーはリサイクルされたペットボトルが使われています。
モンクレールのDISTについてはぜひこちらの記事・動画も併せてご覧ください。
ブログ:https://downjacket.pro/blog/2927/
こうした環境問題に取り組む姿勢はモンクレール以外のブランドでも高まってきており、モンクレールでファーフリー宣言をしたように他のブランドやファッション業界では「エコファー」への注目も高まってきています。石油由来の化学繊維から作られたものや、使用済みのプラスチックペットボトルからファーを作り出す技術も開発されています。
4.まとめ
さて、今回はSDGsとPROSHOP HIRAISHIYAについて、そしてモンクレールの環境問題への取り組みについてご説明させていただきました。これまでご案内した通り、クリーニングしたり修理しながら今あるものを長く使う事もSDGsにつながる1つの活動です。皆様が愛用しているダウンにシミがついてしまった・穴が開いてしまった。そんな時はあきらめて捨ててしまう前にPROSHOP HIRAISHIYAへご相談ください。全力を尽くして、また着られるようお手伝いいたします。
注文方法や現在のダウンについてご不安な部分、クリーニングの内容について確認したいことがある場合は無料カウンセリングや電話注文も承っておりますので、下記リンクよりお気軽にお問い合わせくださいませ。
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