袖のゴム交換について
2022.04.21
ダウンの種類によっては両袖にゴムが入っている形状の袖口があります。このゴムが機能することにより、袖の生地を引き締めて、外気からの冷気を遮るという役目をします。しかし、このゴムは時間の経過と共に劣化してきて、伸び切ってしまい、本来機能するべき締め付けがなくなってきてしまいます。そういったときには中のゴムを新しいものに代えてあげるという方法でお直し可能となっております。では具体的にどういったお直しで修理していくかお話していきましょう。
目次
1.袖口ゴムの交換方法
伸び切ってしまったゴムはもう元に戻りませんので、新しいものに交換していきます。ではその方法とはどうやっていくのか見ていただきます。
1−1袖口部分を一度解く
まず袖口部分に埋まっている中のゴムを出すために一度全体を分解します。そして、ゴムをむき出しにした状態を作ります。
1−2強力なゴムを入れ直す
使っていたゴムを新しいものに交換していきます。このゴムもまた伸び切らないように特殊な伸びが長持ちするものをチョイスしてえらんでおります。
1−3再度縫製し直す
ゴムを交換した後に、空気が中に入らないように手縫いでしっかり再縫製して、買ったときと同じ状態に戻していきます。
2.袖口を早く直したほうがいい理由
本来、袖口のゴムは伸び縮みする役目を元にダウン全体が設計されておりますので、伸び切ってしまった状態では100%の力を発揮できておりません。その状態を放置しておくとどういった支障が出てしまうのか見ていきましょう。
2−1保温性が低くなる
ダウン本来の力は購入当初の状態が一番力を発揮します。その中の一つのパーツとして袖は大きな役割があります。それはずばり、保温性です。外の冷気を中に入れず、体内の熱を外に逃さない構造になっているのが本来の形ですが、これが出来ないと保温性が大きく下がります。よって、せっかくダウンを着用していても暖かくならないなんてことも起こりえます。
2−2見た目が良くない
こちらは外から見られた印象の話になりますが、袖ぐちのゴムが伸び切っているので、とてもだらしない状態に見られてしまいます。しっかりゴムが聞いていることにより見た目もスッキリ、かっこよく見えるようになります。
2−3生地が痛んでくる
本来引き締まった状態を想定して作られているので、伸び切ってしまうと予想外の力が加わっているのと同じ状況になり、生地も痛みやすくなります。
3.袖口ゴム交換の料金について
袖口のゴム交換の修理はいくらくらいするのか気になるところですね。では料金のご説明をしていきます
3−1両袖で17,500円税抜き
こちらは2022/04/21現在の料金となっております。修理代は変動することがあるので、ご心配な方はお問い合わせの上お願いいたします。大きく変わることはないと思いますが念のためよろしくお願いいたします。
3−2片腕も可能
片腕だけも可能で、その際の料金は9,000円税別となっております。
3−3リブの交換も同料金
袖ゴムの交換ではないですが、リブが破れたりほつれたりした時の交換の料金も上記と同じとなっております。
4.袖口ゴム交換の納期はどのくらいか?
修理する上で気になる納期ですが、季節によって変わってきます。春の時期は修理が集中したり、夏は比較的早かったりと変わってきます。では季節で見ていきましょう
4−1春時期に出す
春は大変込み合います。そのため納期は約3ヶ月かかります。
4−2夏時期
夏は比較的空いておりますが、春に残ったものが多くある時は夏時期も混み合うことも多いです。約2ヶ月半前後となります。
4−3秋・冬時期
この時期は急ぎで出すお客様が多くなるため、まずはそちらを優先いたしますので、通常で出される方はその後になり納期もそれなりに時間がかかってきます。約2ヶ月半前後となります。
まとめ
袖口ゴムは保温性を保つ上でとても大事なパーツの一つです。早めにお直しして寒い季節を迎えて頂きたいと思います。基本的に修理納期はとても時間がかかってきますので、秋冬はなるべく避けて遅くても夏くらいまでに出していただけるとシーズンに間に合うと思います。
記事執筆者:クリーニング師 渡邊隆徳(わたなべたかのり)
国家資格を取得してから30年。東京の大手クリーニングで主に高級衣類のメンテナンスを主に経験。その後、家業であるクリーニング店を引き継ぐ。今までにダウンや衣類のメンテナンス数は軽く100万着を突破。染めの技術も取得してシミ、リペア、染め替えの技術をもつ職人兼経営者