色褪せたダウンを世界に一着しかない物へ生まれ変わらせる

2021.01.14

ダウンの特にナイロンとポリエステルで出来ている素材は色があせやすくなっております。ここを見られているという事はそういった問題でお困りの方と思われます。これは生地の特性上の問題です。(詳しくは下記に原因を書きます)特に高級ダウンで見かけるのが、モンクレール、カナダグース、タトラス、デュベチカといった海外製品に多く見られます。ここではそういった色があせてしまった又は色が変色してしまったダウンに対して色を染め治して世界に一着しかないダウンに変えて、着られるようにする過程をみて頂きます。

なぜダウンは色褪せてしまうのか?

タトラスのダウン変色
モンクレールの色褪せ(ポリエステル素材)

まずはなぜにこういった現象になってしまうのか簡単にご説明いたします。これは紫外線かガス+汚れによる症状です。他に細かな理由はありますが、大きく見てこれらが主な原因です。??と思われている方もいらっしゃると思いますので、少し詳しく書いていきます。

ダウンの色褪せの原因 その①

紫外線+よごれでダウンが変色してしまう!

こちらがダウンの色あせの大きな原因となる紫外線+汚れです。高級ダウンクリーニングをしてもこちらの症状はよくなりません。色が変わっているので、ダウンを染色しないとよくなりません。では紫外線と汚れについて具体的にどういったことかというと、外に出ると太陽の光を浴びると思いますが、これは紫外線を浴びる大きな要因の1つです。これだけでもダウンにダメージは蓄積されていきます。その他に、ダウンは家の中でも蛍光灯の光をずっと浴び続けていたりするとこれも紫外線を浴びることになります。蛍光灯は紫外線を発しますので、意外と油断するところです。この2つだけでもダメージを受けるのですが、これに加えてダウンに汚れが残っていると、紫外線で染色強度が弱ったところに、その汚れが残っていることにより更に染色強度が倍の力を増して弱っていきます。これは汚れが空気中の酸素と汚れが結びつくことによりなるシミの酸化という現象です。これらが複合するとダウンにダメージが大きく加わり色あせの進行が加速していきます。

●直射日光の当たるところにダウンを保管しない

●蛍光灯の光が当たるところにダウンを保管しない

こういったことがダウンを守る対策となります。お気をつけください。

ダウンの色褪せの原因 その②

ガス+よごれでダウンが変色してしまう!

こちらはガスと汚れが原因で、ダウンの変色が起ります。これはどういうことかというと、ガスが関係してきます。ガスとは例えば、石油ファンヒーターの近きに至りすると、微量ながらガスを発生していますので、影響を受けます。また、日常の生活をしていれば様々なガスの影響を受けています。他に防虫剤からもガスは発生していますので、ダウンに防虫剤は要注意です。それに加えて上でも述べた汚れが残っているとこれまた変色の進行が進み、変色してしまいます。

ダウンに防虫剤はやらない方がいい

●石油ファンヒーター等の暖房器具のそばに保管しない

これらをしなければダウンの変色はかなり防げると思います。

まずは変色させない事が1番です。

これらダウンの変色を防ぐ為にはまずなにより上の4つを行ってください。それをすることにより80%以上のダウンの変色は防げると思います。また上の原因の他に汚れ落としのいいクリーニング店を選ぶというのも大事になってきます。そのため、クリーニング店を選ぶ際はウェットクリーニングをしているところを選ぶ事や、高級ダウンクリーニングの実績が多いところを選ぶというのが大事になってきます。

●高級ダウンクリーニングをウェットクリーニングで行っているお店

●高級ダウンクリーニングの経験が豊富なお店

これらを選択しつつ上のダウンの変色の原因に気をつければ80%以上でダウンの変色は防げると思います。是非、行って見てくださいね。

ダウンの色褪せを直す行程

それではダウンの色がどんな風に変わっていくかを見て頂きます。せっかくの高級ダウンが変色して着れなくなってしまったものを生まれ変わらせて着れるようになるって素敵な事じゃないですか😃また、古くて着れなくなってものも一緒です。他に思い出の親から引き継いだものもあるでしょう。PROSHOP HIRAISHIYAでもたくさんのご家族の思い出のダウンを染色してきました。それではダウンの色直しを見て頂きます。

色直し事例① ~モンクレール~ 

モンクレールのダウン①染色前

こちらは染色前のモンクレールのダウンです。両袖から所々、本来ならばモカ色だったのが、赤っぽくなっているのがおわかり頂けると思います。これをお客様の希望でチョコレートブラウンにしてほしいということでした。そして行ったのが下記になります。こちら染色する前はモンクレールダウンクリーニングを必ず行います。それもウェットクリーニングで徹底してよごれを落としてからです。

モンクレールのダウン①染色後

こちららモンクレールを染め変えた後になります。ご希望通りチョコレートブラウンに出来たと思います。写真では明るいですが、実際はもう少し位モンクレールになりました。とてもよく出来たと思います。しかも色も定着し、縮みも2㎝以内とほぼ縮まないことに成功しています。そして、色もご家庭で洗ってもいいように色止めしております。また、着用中に色が出ないようにも色止めしております。これでまた、着られるようになると思います。また、このチョコレートブラウンのお色は世界で一着しかありません。これはとっても貴重ですね。世界で大人気のモンクレールですが、世界広しといえどこのお色は世界に一着しかありません。しかも着れない状態のをこの状態にまですることが出来るってすごくないですか?

色直し事例② ~モンクレール~

モンクレールダウン 染色前

こちらは襟元がだいぶ汚れていた状態のモンクレールです。こちらを黒に変えたいというご希望でした。まずは徹底的にモンクレールクリーニングを行い、キレイにしていきます。これをしないとしっかり色が入っていかないのです。そのため、エリの汚れを中心にしっかりキレイにしていきます。

モンクレールダウン 染色後

モンクレールの染色後はこのようになりました。黒のご希望通り、このようにキレイになりました。縫い糸が白でそれがそのまま残っていて、それが逆にアクセントのモンクレールになったと思います。これもしっかりモンクレールクリーニングを行って初めて色が入ってこのようにキレイに染まります。縮みもほぼ無かったです。これは当社の独自の縮み防止コーティングを施して行っているからです。

色直し事例③ ~モンクレール~

モンクレール染色前

こちらはところどころ色褪せているのがわかると思います。元は薄いブラウンだった物で、所々赤っぽく色があせています。これもナイロン素材特有の色落ちの仕方です。これも勿論、モンクレールクリーニングをして徹底的にクリーニングしていきます。この汚れ落としが出来るクリーニング店でないとモンクレールの染色も出来ません。具体的に言うと、モンクレールクリーニングをドライで行っているところではまず難しいでしょう。なぜなら、汚れをしっかり落とせないからです。この状態で染めても、汚れの上に色を乗せる事と同じなため、直ぐに色が抜けて元に戻ってしまいます。そのため、染色だけ注力しがちですが、しっかりモンクレールクリーニングの技術もあるところでないとモンクレールの色染めは頼まない方が良いと思います。

モンクレールを染色後

このようにモンクレールをむら無くご希望のチョコレートブラックにすることが出来ました。こちらはまだ仕上がった段階ではないのでボリュームが完全に戻っていますせんが、これからしっかりふっくら加工して仕上げています。れでまた着られると思います。なぜ、モンクレールにこだわって出されるかというと、モンクレールは最高級の羽毛のを使って作られているダウンだからだと思います。これがお安くお求めになった物なら考えるでしょうが、最高級の代えの利かない羽毛だからまた着たいとお思いになられるのじゃないでしょうか?または思いでのモンクレールダウンだったり、お気に入りのダウンだったりと様々だと思います。

色直し事例④ ~ Dsquared2 ~

こちらは一度も着られていないとお客様がおっしゃっていました。ところどころに色はげが起きていて、着れない状態でした。はじめは脱色してしまったのかという感じに見えましたが、染めて見てそうじゃないことがわかりました。こちらはオレンジということで、色の染める物が限られてきます。当社としては同じ赤系で行った方がいいと思いお客様にご提案させて頂きました。そして許可をいただいたので、それで行う事にしました。勿論、こちらもDsquared2クリーニングをしっかり行い汚れを完全にとってから染めに入ります。たまにダウンの染色のみ出来ませんかと言われるお客様がいらっしゃいますが、それで染めてしまうと汚れの上から染める事になり、直ぐに色がはげてしまうと言ったことがおこりえますので、当社としてはそちらは受付しておりません。

こちらが染め代え後のDsquared2のダウンになります。同じ系統で染めたので、キレイに染まったと思います。オレンジは赤系統ですので、同じ系統のお色で染めるとこのようにキレイに染まります。縫い糸と本体のバランスも考えなければなりませんので、こちらの相性は最高に良かったと言えます。

色直し事例⑤ ~ モンクレール ~

上のモンクレールはべーじゅといいますかグレートいいますかそういった色でしたが、袖の部分が緑に変色していました。こちらはお客様の希望で黒に染め変えたいということだったので、モンクレールクリーニングでしっかり汚れを落としてからモンクレールの染め直しをいたしました。染め変えるお店はネットでたくさんありますが、このクリーニング技法が出来て初めてモンクレール等の染めは生きてきます。そのため、染めの技術は高くても汚れをしっかり落とせる技術がないと色染めは完璧とは言えません。その点、当店は78年のクリーニングの歴史がありますので、汚れを落とすといういみでは誰にも負けない技術を持っております。そして、その技術を活かしてモンクレールクリーニングをし、しっかり汚れを落とした上で、色染めに入ることを徹底しています。また、色染めに関しては、全国のお店さんは色染めまでで終わるところが多いです。つまり染めた後にシワになった状態でもそのままお渡しというところが多いです。これも問題ですね。色を染めれば、当然シワが通常以上に出来ます。しかし、それを伸ばさないでおわたしするということはじぶんでやるとなるととても大変です。PROSHOP HIRAISHIYAではモンクレールクリーニングからアイロンまで最後までしっかり行って、お客サマの手元に届いた時には直ぐに着れる状態になっています。これは安心ですね。

こちらがベージュのモンクレールから染め治したモンクレールその後になります。とてもきれいに染まったと思います。タテにLINEがありますが、ここは本体の部分と別の素材でできていたためかそまりかたが本体とすこし違いますね。しかし、しっかり染まってくれたと思います。染色は全体のバランスを考えるのもとても大切です。こちらでいうところの元はテカリがある素材でしたが、それを損なわずに全体を黒で統一出来たというところが成功かと思います。また、縫い糸はこちらも染まりませんでしたが、そこまで気にする程でもないと思います。喜んでいただけたら幸いですね。

色直し事例⑥ ~ THE NORTHFACE ダウン~

ダウン染色前

こちらはどこも色があせてないように見えますが、お客様のご希望で、ダウンの染め代えを行いました。実は、NORTHFACEのダウンって中に入っていす素材が羽毛だけで無く 光電子®ダウンといって(ダウン72%、レーヨン 20%、その他の羽毛 8%) と様々な成分が入っています。そのため、通常の染色の感覚で行うと間違うおそれがありました。いくら染色前に染色の注意で同意を得ていても、やはりキレイに染めたいのが職人の本望です。さて、どうしたものかと様子を見ながら、NORTHFACEのダウンを染色していきました。

ダウン染色後

このようにシワ1つなくキレイに染まってくれました。ホット一安心です。余裕で出来るなんて思っていません。ダウンの染め直しは、毎回緊張です。特にNORTHFACEは中に上に書いたとおり、特殊な素材が入っているため、どのように染料と反応するかわかりませんので、緊張します。結果、このようにキレイになってくれて良かったですが、最後まで油断がならないのがダウンの染色です。こちらは比較的、染色後にシワがないため、アイロン掛けは楽です。通常のモンクレールやカナダグースはダウン染色後はシワがあひどいため、PROのアイロン掛けをしないとキレイにならないんですね。このアイロン掛けが出来るのと出来ないのとで染色の完成度は変わってきます。この技術が伴って初めてダウンの染色は完成するのです。もしほんとかよと思われた方はやってみてください。PROでも一苦労するダウンのアイロンを目にすると、まず失敗してあきらめてしまうレベルになると思います。PROはそんなところをキレイにしていきます。この技術は一般の技術の人では出来ないと自信を持って言えます。それくらい難しいのがダウン染色後のアイロン掛けです。

色直し事例⑦ ~ モンクレール ~

モンクレールダウンの染色前

こちらはモンクレールダウンの典型的な色落ちです。こちらはたぶん、紫外線と汚れによるダウンの色褪せだと思われます。こうなってしまったらモンクレールの色直ししかありません。こんな状態では通常あきらめてしまうところだと思いますが、PROSHOP HIRAISHIYAではお手の物で直せます。このタイプは槍慣れているから、心配がありません。色の染めにも自信があります。それではその後を見ていきましょう。

モンクレールダウン染色後

同じダークブロン系でそめたので、そこまで違和感なく完成したと思います。まだお客様にお渡ししていませんが、たぶん喜んでくれるはず。こちらはまた、毛皮ファーがついていたので、染色前に1度外してあります。そのため、染め終わったので、これから毛皮ファーを再度つけなおしするところです。このように毛皮ファーがついたダウンの染色は断られる事が多いらしいですが、PROSHOP HIRAISHIYAではそんな不可能はございません。PROのダウン修理技術者とPROの染色技術者のタッグで不可能をかのうにしていきます!

色直し事例⑧ ~ ノースフェイス ~

こちらはノースフェイスの襟元がオレンジ色に変色しているのがおわかりかと思います。こうなってしまっては部分染ではたいおうが難しくなっております。たとえ、部分染ができるといった会社様があられてても、洗えばかんたんに取れてしまうくらい染めは深く入りません。そのため、高温全体染め替えがおすすめです。これをすることにより、しっかり色が定着し、洗っても落ちない品質に生まれ変わります。それではその後を見ていただきましょう。

同じブロン系の色を入れてこのようにカバーしキレイに戻すことができました。そして一度染めたものは通常の洗濯では落ちにくくなります。この染の技術があるのは日本で数社しかございません。そして、その中でクリーニングの技術もあるお店は日本で当社のみです。この高級ダウンクリーニングの技術がないと、色染めしたあとにたまにできるシミをキレイできませんので、この技術は必要になってきます。

色直し事例⑨ ~ 有名ブランド ~

こちらの高級ダウンは元々グレーっぽい色味でしたが、写真で見るとおわかりのとおり、全体的に赤茶けている部分が出てきてしまい、これを直してほしいというご依頼でした。そのため、当社のおすすめするダークブロンでの染め替えとなりました。その後は以下になります。

ボリュームもしっかり戻ってこのようにきれいなダークブロン色に染め替えることに成功しました。成功という言葉を使うのは、実はダウンの染色はとてもむずかしいため、色味がキレイに入らないことが多々有り、そのばあい、再度染め直したりしているのです。そのため、うまく染まった時は格別です。スタッフ一同とても喜びます。

色直し事例⑩ ~ 有名ブランド ~

こちらの高級ブランドダウンは薄いブラウン色でしたが、色褪せが出てきており、ダークブラウンをご希望だっためこのように染めていきました。全体がキレイに染まりましたが、襟の部分はアクリルだっため、そのまま残ります。アクリルは唯一染まらない素材になります。

色直し事例⑪ ~ モンクレール ~

こちらはダークブロンだった色をブラックに染め替えました。このようにとてもキレイに蘇りました。これで何十年とまた着れるようになったと思います。この染めた後もモンクレールクリーニングして色止めしておりますので、簡単に色が抜けるということはございません。

色直し事例⑫ ~ モンクレール ~

モンクレールのカーキ色はこのように色褪せがしやすいです。これは紫外線等によるもので、このようになると染色でしか修正が効きません。しかし、一度染色してしまえば、このようにまた着れるようになります。こちらも色美しく変わったと思います。ワッペンが付いていませんが、後から縫い直して付けます。